韓国かき氷、狙うならこの専門店5軒

結論から言うと、今年の韓国でかき氷を食べるなら、ホテルのラウンジより住所を控えて行くローカル専門店が正解。明洞や弘大の大通りではなく、一本奥に入った坂道や路地に、一杯を料理として出す店が集まっている。
需要のピークは数字にも出ている。かき氷専門フランチャイズのソルビン(설빙)によると、梅雨明け後の12日間(7月27日〜8月7日)のかき氷販売量は直前の同期間比で35%増。メガMGCコーヒー・コンポーズコーヒー・イディヤコーヒーといった低価格チェーンも1人用カップかき氷を相次いで投入し、歩きながら食べる「길빙(キルビン=道かき氷)」市場の競争が激しくなっている(出典: heypop、元記事はこちら)。
その反対側にいるのが、旬の素材を探して農家まで足を運び、シェフの経歴をそのままメニューに落とし込む専門店。今回はソウル4軒+済州1軒、計5軒の住所と看板メニューを整理する。🍧
この記事のポイント/5軒はいずれも観光動線から一区画外れたローカル店。素材が旬を終えるとメニューも消えるため、狙いは「行ける時期に行ける店」。価格は公表されていないので店頭または公式インスタで確認を。
まず住所から。5軒の早見表
| 店名 | エリア | 看板メニュー | 住所 |
|---|---|---|---|
| プビン(부빙) | プアム洞(부암동) | ワンソかき氷(완소빙수) | ソウル鍾路区彰義門路136 |
| チョクタン(적당) | 乙支路(을지로) | マッコリかき氷 | ソウル中区乙支路29 プヨン乙支ビル1階 |
| キデルビン(기댈빙) | ソウルの森(서울숲) | メロンプロシュットかき氷 | ソウル城東区ソウルの森2キル19-8 1階 |
| ムシム(무심) | 厚岩洞(후암동) | メロン・チャメかき氷 | ソウル龍山区厚岩路13キル4 1階 |
| チェジュトルチャンゴ(제주돌창고) | 済州・翰京面(한경면) | 金寧(クムニョン)海かき氷 | 済州市翰京面朝水7キル8 |
季節が終わればメニューも消える「プビン」
プアム洞の坂道を上っていくと現れる小さな店。2013年オープンのプビン(부빙)で、名前は「プアム洞のかき氷屋」の略というシンプルさだ。看板メニューのワンソかき氷(완소빙수)は、旬のグリーンピースのピュレに塩をふって食べる一杯。3号店の延南(ヨンナム)店限定の「カムテカラメルかき氷」は、醤油味の練乳の上にカラメルソースとカムテ(甘苔)をのせる。
始めたのはキム・ソヨン、キム・アヨンの姉妹。日本で調理学を学んだ妹に姉が起業を持ちかけ、20代後半で開業した。小豆好きの母親の影響でかき氷を選んだという背景も、メニューの手作り感につながっている。2020年に北村(プクチョン)店、2025年に延南店をオープンし、今も店では2人が厨房でフルーツピュレを作っている。
ここで重要なのはタイミング。旬の素材に合わせて季節ごとにメニューが入れ替わり、収穫期が終わると同時にその一杯は姿を消す。今夏はパイナップルピュレにココナッツクリームを重ねた「ピニャコラーダかき氷」、プラムを使った「スモモかき氷」、超糖トウモロコシのピュレに胡椒をふる「トウモロコシかき氷」が並んだ。食べたい氷があるなら、迷っている時間がいちばんの敵。

小豆・梨・マッコリ。伝統の甘さを更新する「チョクタン」
乙支路のビル群の内側、背の高い本棚の奥に赤いカーペットと木の空間が広がる。空間企画会社のOTDコーポレーションが2019年に立ち上げた小豆デザート専門ブランド、チョクタン(적당)だ。漢字では赤糖。名前のとおり羊羹、アイスクリーム、最中など小豆を使った韓国式デザートを揃え、マスターシェフ・コリア2準優勝のキム・テヒョンシェフが運営する。
かき氷も看板の一つ。扶安(プアン)産の小豆で作った小豆クリームをのせたパッピンスは、基本に忠実なこの店の価値観がそのまま出た一杯だ。梨のシロップとマスカルポーネ梨クリームに梨のカット、梨チップを重ねた梨かき氷、そしてマッコリブランド「담음(タムム)」とコラボしたマッコリかき氷もシグネチャー。マッコリ特有の酸味と発酵香を、冷たいクリームに移している。
羊羹・小豆茶・渋皮栗・白雪餅アンバターはNAVERスマートストアで購入できる。ただし白い陶器に盛られたマッコリかき氷は店舗限定。お土産では代替できない。

シェフの文法で作る2軒 — 「キデルビン」と「ムシム」
メロンに生ハムと胡椒をのせる「キデルビン」
かき氷にメロン、プロシュット、胡椒。レストランでもカクテルバーでもなく、ソウルの森エリアのキデルビン(기댈빙)の看板「メロンプロシュットかき氷」の話だ。イタリアンレストランと食肉加工専門店セスクメンスル(세스크멘슬)出身のキム・ジョンチャン代表が、長い厨房生活のあとに開いた店である。
市場調査で聖水洞に個性的なかき氷専門店が少ないと気づき、古いチキン店を引き継いで2023年にオープン。「息せき切って生きる都市の人が、少し寄りかかっていけるように」という意味の店名だ。餅は2代続く餅店から仕入れ、プロシュットはイタリア・パルマ式のものを選ぶ。素材ごとの産地と取引先をSNSで細かく公開するのも、シェフの文法そのもの。パリで出会ったチョコレートムースの質感を再現した「フォレノワールかき氷」、タイ産マンゴスチンをニンニクのような姿に仕立てた「マンゴスチンかき氷」もある。
デザート2種とお茶だけ。厚岩洞の「ムシム」
厚岩洞の小さなデザートバームシム(무심)は2025年5月オープン。延南洞のオーダーケーキ店「ムムデベイク」と延禧洞のカフェ「ボケ」が合流して立ち上げた店で、この2ブランドは現在は営業を終えている。
売っているのはかき氷とアイスクリーム、たった2種類だけ。今夏はメロン・チャメ(マクワウリ)かき氷と、コングクスアイスクリーム。前者はメロンミルクの氷にヨーグルトアイス、チャメの生クリームとメレンゲ、メロンを一切れ。後者は豆味のアイスに豆乳、えんどう豆、塩の泡、キュウリとトマトを合わせ、冷たい豆麺コングクスの見た目を再現している。
特徴はお茶とのペアリング。デザートごとにお茶が一杯つき、2026年8月時点では夏に合う冷たい麦茶が合わせられている。季節が変わればスモモアイスやトマトかき氷など旬の顔ぶれに入れ替わる。
済州は自分で盛る。「チェジュトルチャンゴ」🌊
ソウルを出るなら済州市翰京面。玄武岩を積んだ建物に入るチェジュトルチャンゴ(제주돌창고)は、1972年築の精米所を夫婦が自ら改装したカフェだ。輸入食材を使わず済州の農家と直取引し、済州の伝統食とローカルフードをデザートと飲み物に翻訳している。
済州産抹茶で漢拏山をかたどった「ハルラサンかき氷」、大麦を石臼で挽いた粉「ポリゲヨク」でオルレの道を表現した「オルレかき氷」と、見て楽しい一杯が並ぶ。シグネチャーの「金寧海かき氷」は体験型。済州の漢拏牛乳を凍らせた青いかき氷に、ポリゲヨク、チョコクランチ、アニマルゼリー、ヤシの木のフィギュアが一緒に出てきて、氷の上を自分の好きなように飾って食べる。子ども連れならここが強い。
まとめ
カップかき氷が速さで勝負するなら、この5軒は「わざわざ行って、ゆっくり食べる理由」で勝負している。プビンは旬が終わればメニューも終わり、チョクタンのマッコリかき氷は店舗限定、ムシムは2種類だけ、チェジュトルチャンゴは自分で盛る一杯。どれも一度逃すと次の季節までない。
動くときの手順はシンプル。行きたい一杯を決める→公式インスタで今のメニューと営業を確認→住所をそのまま地図アプリに入れる。5軒とも観光動線から一区画外れているので、この順番が確実だ。
よくある質問
紹介した5軒のかき氷の値段は?
今回の5軒は価格が公表されていないため、店頭または各店の公式インスタグラムでの確認が必要。ローカルの個人店が中心で、季節メニューごとに設定が変わるタイプの店が多い点も踏まえておきたい。
メニューはいつまで食べられる?
素材の旬に連動して入れ替わる。特にプビンは収穫期が終わると同時にそのメニューが下がるため、パイナップル・スモモ・トウモロコシなど夏限定の一杯は時期を逃すと翌年まで待つことになる。ムシムも季節ごとにスモモアイスやトマトかき氷へ切り替わる。
店に行けない場合、通販で買える?
かき氷そのものは通販不可。ただしチョクタンはNAVERスマートストアで羊羹・小豆茶・渋皮栗・白雪餅アンバターを販売している。陶器に盛られたマッコリかき氷は乙支路の店舗でしか味わえない。